mirage of story
(......おかしい)
もう随分と人は外へと避難していった。
でも、カイムの見る限り.......まだ出てきていない。
そろそろ出てきてもいいはず。
なのに、まだ見えない。
カイムは、廃墟の入り口に目を凝らした。
数人の人が出てきて、続いていた人の流れが
そこで途切れた。
最後に出てきた数人は、走り去り
誘導の街の若者たちも、全員出てきたと認識したのか
その人々の後を追う。
今、カイムの傍にあるのは次第に大きく逆巻く、黒い風の渦だけ。
(.......何か、あったのか?)
まだ見えない求める者の姿に、途切れた人の波。
そして轟音と共に、逆巻く風。迫る危機感。
カイムの心に心配が募る。
「──────シエラ.......」
カイムは、心配の矛先に居る相手
......仲間の名を呟いた。
その呟きは、虚しくも辺りを震わす轟音にかき消される。
タッタッタッタタ......。
カイム以外の人の気配がなかった空間。
込み上げてきた不安。
そこに、誰かが走る足音が聞こえてきた。
その足音が聞こえるのは、廃墟の中から。
やっと来た。
その足音に安堵を覚えてカイムは、入り口へと駆け寄った。