mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
「.....シエラちゃん、やっぱりあなたは優しい子ね」




ネビアは、驚いたように取り乱すシエラに穏やかな柔らかい笑みを向けた。

それは崩れ行くこの廃墟には、あまりに不似合いで
何だか違和感を感じた。







「────でも、その優しさはあなた自身を傷付ける。
人に優しくするのもいいけれど.....ちゃんと、自分に優しくしてあげなくちゃ。

シエラちゃんに何かあったら、悲しむ人が居るでしょう?」




ネビアの瞳は、胸が痛くなる程.....優しかった。


優しい。
なのに、その優しさが今のシエラの胸には痛く突き刺さった。






「シエラちゃんと一緒に居た子.....カイム君だったかしら?

あの子も悲しむわ。絶対に。


カイム君、すごくあなたのことを.....大切に想っているみたいだから。
────自分のことを、そんな風に思ってくれる人を悲しませちゃ駄目よ」





「.....傷付いて悲しむ人が居るのは、ネビアさんだって同じだよ!」





シエラは涙を堪え、言う。

そのシエラの言葉に、ネビアの瞳はより一層哀しく陰った。






「........私がどうかなっても、悲しむ人なんて居ないわ、きっと。皆に───恨まれてるから。

私の場合は、自業自得なのよ」





「自業自得って.....ネビアさんは何にも───」 






「......あのロアルという男に、あの石を渡したのは
私なの。

......あの男の言葉を信じちゃいけないって、言っていたのに。
私が勝手に持ち出して───あの男に渡したの」






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