mirage of story
ネビアは一瞬躊躇うように沈黙すると、感情を押し殺したような声で言う。
「え.....」
「怖かったのよ。渡さなかったら、この街がなくなるんじゃないかって。
本当に馬鹿よね.....渡したことで結局、街はこんな状況になってしまった。
私が勝手なことしなければ、こんな風にはなっていなかったのかもしれないのに」
体力の消耗が激しいのか、ネビアの声はだんだん擦れてくる。
だがそれでも、彼女の言葉は止まらない。
「......でも街の人達は、私を責めはしなかった。
『お前のしたことは正しい』そう言ってくれたのよ」
涙の混じった声が、フッと笑うように微かに震える。
「────だけど、現実はこれ。
皆が許してくれても、この事態を招いたのは私。
それは、変えられない事実」
「ネビアさん....」
「だから.......私は、罪を償えるのなら
死んでも、構わないのよ───」
ネビアの声は、もう聞き取るのがやっとの状態だった。
自嘲染みた笑いを含んだ声の震えも、次第に小さくなる。
「────ネビアさん.......そんなこと言わないでよ。
一緒に逃げよう?
皆.....ネビアさんにそんな罪を背負ってほしいなんて、思ってないよ」
シエラはネビアの手を握り、揺する。
「─────ネビアさ.....」