mirage of story
シエラの言葉に、カイムは改めて剣を見つめる。
「─────この剣の力の一つ.....なのかもしれないな。
『時を止める』っていうのこと、この状況から考えて引っ掛かるのはこの剣しかない」
もう一度、光放つ剣を見つめる。
そしてカイムの中でそんな一つの答えが出た。
カイムの言う、剣の力。
それはこの前、自分たちを追ってきたライルから逃げる時にシエラが使った、不思議な力。
この力が何なのかは分からないが、シエラにこの剣を託したエルザは『神術』と呼んでいた。
この世に今まで存在すると言われていた力は2つ。
魔族の力、今の世でも繁栄をしている魔術。
そしてこの街、アトラスの人々が使っていた、廃れた....もうほとんど忘れ去られた人間の力。聖術。
今の世界では、前者のみが力を奮い
後者は、もう世界から消えかけて、知っている者さえ少ない。
魔術。聖術。
それとは違う、もう一つの力....神術。
敵であるライルが迫り来る時、その力を使って逃げ切ることが出来た。
これからの旅で、解明が必要だと思っていた力だ。
────今の、この状況がこの剣の『神術』が生み出したものだと、そう推測するならば
恐らく魔術に匹敵、いやそれ以上の力。
これからの旅の、欠かせない戦力になる。
「神術.....そうかもしれない。
この剣、母さんが使っていたもの以外にも......もっと、凄い力があるのかも」
「もしそうなら.....凄いことだ、シエラ!
時を止めるなんてこと、魔族の持つ魔術でも出来やしない───凄い力持ってるんだ!」