mirage of story
今、カイムとシエラが立ち向かおうとしている相手は魔族。そして、ロアル。
魔族の王。言わば一つの魔族という大きな国家。
一つの国家と二人の人間。
力の差が、ありすぎる。
今のままでは、シエラたちに勝ち目はない。
だからこそ今は、少しでも自分たちに有利になる力が欲しい。
このシエラの剣の神術という不思議な力が、今の自分たちに加わった所で
彼等が勝つ可能性は、1%にも満たないかもしれない。
まだその力がどんなものであるかも解明出来ていない。
だが、だからこそ.....どこまでも可能性がある。
『神術』という可能性が増えたことで戦いへと
大いなる一歩が踏み出せた気がして、二人にとっては嬉しいことだった。
「─────これで、この状況が何なのかは......少しは分かった。
でも、この状況はいつ崩れるか分からないな。油断は出来ない」
この時が止まったのは、神術の力だと仮定したカイムは、改めて辺りを確認した。
まだ何も変化はない。
「よし.....この状況が続いてるうちに、ここから逃げよう」
カイムは『神術』への興奮を抑えて冷静に戻り、今の状況に対処すべく立ち上がった。
此処で優先すべきは....神術のことではない。
「まずは、ネビアさんを助けよう。
シエラも手伝ってくれ!
俺が、ネビアさんの上になってる壁を持ち上げる。
その間にネビアさんを!」
「うん、分かった!」