mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
正直、彼は焦っていた。

折角ルシアスの指輪を持つ者、つまり自分にとっての最大の復讐の相手を見付けることが出来たのに。
ようやく彼女の仇を討てる機会が訪れたのに。



――――。
今のままの状態では、奴らを討つことが出来ないかもしれない。

敵を捕らえることの出来る立場に自分は居るはずであるのに、今の状況では捕らえることさえ叶わない。







(.........)



そんな想いが常に彼の心の何処かに在って、彼の心を日々じんわりと焦らせる。



ライルにとってルシアスの仇。
指輪を持つあのシエラという少女を討つということが何よりも優先させたいこと。
ライルの生きる意味。

何よりも大事なライルの中の果たすべき正義。



――――。
だから今のままで仇を取れずに立ち往生するのは耐えられないことだった。
許されないことだった。



訪れる時は待ってはくれない。
時が来る、その時に確実に敵を討ち果たせる準備を整えておかなくてはならない。

なのに、なかなか思い通りにはいってくれない。




ッ。何か今のこの状態を打開するために、自分のすべきことを考える。

―――。
だがそう簡単に思い付くわけもなくて、頭の中でその問題がぐるぐると廻るだけなのである。







 
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