mirage of story
第二の街-出逢い-
〜1〜






――――。

風の吹く大地の上。
二つの人影が、静かに大地に寄り添うようにしゃがみ込む。



ッ。
そして大地に流れ落ちた雫。
それはしゃがみ込む二つの影の涙の雫。





―――――。

そう。
大地に寄り添う二人。
シエラとカイムは、泣いていた。



そして二人が寄り添う大地の上には無言で横たわる一人の女性。

もう、彼女の心臓は動いていない。
冷たくなった身体が、彼女がもう二度と目を覚まさないということを物語る。



.......。
横たわる彼女。
彼女は彼女の故郷の街と共にこの世界から、無くなった。

安らかに────でも哀しみを心の中に残して、彼女は死んでしまった。



ッ。
彼女の見せたあの哀しみ溢れる表情が脳裏に焼き付いて離れない。









「──────ネビアさんッ!」




動かなくなってしまった彼女。
その姿を前にして、沸き上がる感情を抑えられずにシエラは大地を掴んだ。








「.......」



彼女とそしてシエラ達は、ほんの先刻まで荒れ狂う風の中に居た。

街を巻き上げ瓦礫にして、人々の命を奪う死の黒い風。
そんな命の危機迫る、死の風の中シエラたちは、動かなくなってしまった目の前の彼女と共にここまで逃れてきた。



――――。
シエラとカイムは、自分たちがついさっきまで居た場所を振り返り見る。







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