mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
仲間。


――――。
彼から出たその言葉に、ジェイドの顔から笑みが静かに退く。










(仲間....ねぇ)




仲間。
それはどんなことがあっても互いを想う存在。
この世の中で、人と人との間に輝く光のような存在。







(ハハッ、仲間か。
..........そんなもん本当にあるのかねぇ?)




真剣に仲間を思う彼の言葉に、ジェイドは心の中で冷笑する。

冷たい笑み。
そしてとても寂しい笑み。


――――――。
仲間というものをジェイドは信じない。
というよりも何処か無意識のうちに毛嫌いしていた。








(.........)



ジェイドにだって前は仲間が居た。

共に戦場へと赴いて、命を預けて戦う。
そんな仲間と呼べる者が居たはずだった。





――――。
だけど、どうだろう?

今、その仲間はジェイドの敵。
命をも狙う天敵なのである。


人との繋がりなんて所詮、脆いもの。
すぐに壊れる。無くなる。

そんなジェイドはある時そんな自分の今を疑問に思い、仲間という括りから―――自分の居場所と信じていた場所から身を投げた。









(仲間なんて、所詮人同士のお遊び。
仲間なんて存在、俺達人には一生かかっても作れはしない。

所詮人ってのは、口で幾ら綺麗事を並べようと最後に守るのは誰か他人じゃなく自分自身。
結局は仲間なんて存在よりも一番大切なのは、自分の身であり地位であり自分自身なのさ)





ジェイドは心の中で仲間の存在を信じるカイムを、そして自分を嘲るように笑った。








「.........ハハッ!いいねいいね、大切な仲間かい?

じゃあ嬢ちゃんとお前がどんなに素敵なお仲間か、たっぷりと聞かせてもらうとしますか!」







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