mirage of story
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ジェイドはそんな想いを飲み込み、気持ちとは裏腹の軽い笑みと軽い調子の口調で言った。
彼の内に在る気持ちは、驚くほどにその表情には表れはしなかった。
「は、はい!
........あの俺も折角なので色々と聞きたいことがあるんです。
話をしながら俺も色々と話を聞かせてもらっても構いませんか?」
勿論、鈍感なカイムはそんなジェイドの陰に気付くはずもなくただ素直に答えた。
「おぅ、お互い語り合おうじゃないか!
まぁでも本当は男のお前より、嬢ちゃんの方が気が乗るんだかなぁ?ハハッ!
まぁいい!聞きたいことがあるなら答えてやるよ?
あ、でも語り合うのならもっと気軽な感じで行こうぜ?
堅苦しい感じは御免だ、別に敬語じゃなくてもいい」
「あの、でも別に意識してこういう口調な訳では無くて。
元々こういう感じなんだと思います、俺。
.....あ、でもやっぱり少し堅苦しいですよね?
なるべく気を付けるようにはします、ジェイドさん」
「ハハッ!って、言ってる間にも全然治っちゃいないがなぁ?
まぁそれが話しやすいなら、そのままでいいか」
「すみません、ありがとうございます」
表側の笑顔で言うジェイド。
答える素の笑顔のカイム。
.......。
だがその二つの笑顔は、同じ笑顔でもその質は全くと言って良い程に違うものなのである。
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