mirage of story
 
 
 
 
 
 



向かい合うこの二人。
心に在るのは、黒と白。

見えないけれど、この二人は相対的な存在であることが分かった。















「──────じゃあ、兄ちゃん達。俺は邪魔みてぇだから外すぜ?

そこの若い方の兄ちゃん。
こんな所でよかったら、ゆっくりしてきな?」





互いに向き合う二人の男を前に、ずっと端から様子を見ていた宿屋の店主は何だか肩身が狭くなって閉じていた口を開く。

自分の店なのに、肩身が狭い。
何だか切ない話である。








「あぁ、親父さん。まだ居たのか!
すまねぇな」



「居たのかって.....ひでぇな、ジェイドの兄ちゃんよ。
まぁいい、ゆっくり話してな?」




――――。
店主の男はそう言ってジェイドに軽く手を振るとそそくさと部屋から出ていく。

そんな姿をジェイドは笑いながら手を振りカイムは軽く頭を下げて見送った。













「さぁ、話そうか?」



店主が気を利かせて部屋を去り、少しだけ静かになった部屋の中で、ジェイドは口を開く。





「はい」



そして部屋に残された二人はそのまま話の渦の中。
相対する笑みを浮かべる二人は、静かに語りの世界へと落ちていった。








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