mirage of story
扉を開けた先。
そこに影は二つ。
倒れるカイムの姿とそんなカイムを抱え起こす街で出会った男ジェイドの姿。
「カイム!」
状況が頭の中が理解された瞬間に、彼女は駆け出す。
駆けるといっても部屋の中でそんな距離は無いのだが、それでも彼女は全力だった。
「カイム!
ねぇ、カイム!?」
ッ。
走って駆け寄りカイムの体を揺り動かす。
だが、返事はない。
心配しない訳は無い。
血の気が引く。
「カイムに何をしたの!?」
返事の無い彼。
そんなカイムに対する感情の矛先は、彼のすぐ隣に居るジェイドへと必然的に向く。
彼が倒れている。
その状況から推測するはこのジェイドという男が彼に何かしたのだと考えるのは可笑しくない。
「―――!
おいおい、待てって!嬢ちゃん!
何か勘違い.....っておい!」
当然焦るのはジェイド。
だが顔には軽い笑みが張りついているためか深刻さはあまり感じられないが、それでも彼女の勢いに圧されているようである。
――――ッ!
シエラは、そんなジェイドの襟首を思い切り掴む。
ッ。
明らかにジェイドより身長の低いシエラは、手を精一杯に伸ばし掴みかかった。
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