mirage of story
「わ、私でよかったら」
「じゃあ、決まりだ!」
シエラの返事に、ジェイドの笑みが少しだけ濃くなった。
―――。
話をするべく二人は眠りこくる人騒がせな彼を隣の部屋に置き、こうして向かい合っているというわけだ。
「あ....」
――――。
勢いに任せたあの謝罪の後、数秒だけ静まり返った部屋の中でジェイドは口を開く。
そんなジェイドの瞳は、ある一点を見つめ止まる。
「どうしたんですか?」
何かに気が付いたような彼の声に問う。
「なぁ、嬢ちゃん.....あいつ、酒は苦手かい?」
「はい?」
いきなりどうしたかと思えば、今度はいきなり変な質問。
「あー、いやぁだからアイツ.....カイムは酒は苦手かって聞いてるんだが。
もし苦手なら、ちょっとばかり思い当たる節があってね」
もう一度聞く。
何でいきなりそんなことを聞くのだろうと思ったが、とりあえずいきなりの質問の理由も分からぬままに答える。
「....はい、多分」
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