mirage of story

　
　
　
　
　

何だか面目無くて申し訳無くて、謝らなければという衝動に駆られた。







「いやいや、だから嬢ちゃんが謝ることはないさ？

まぁ無事で何より。
ハハッ！よかったよかった！」




まぁ彼は何にも気にはしていないみたいだったが。
軽い笑みは裏が読めないが、それでもその笑みにとりあえずホッとした。















「さて、と！

じゃあ嬢ちゃん？
暇潰しがてら色々聞かせてくれないかい？
少しはカイムから聞いているが、まだまだ興味が尽きないんでね―――いいかい？」





軽い笑みを浮かべたまま、ジェイドはシエラの瞳を見て言う。

顔は笑っている。
だが、瞳に帯びた色は何故か真剣な色に見えた。



――――。
何なのだろう。


ただの気のせいかもしれないが、その彼の些細な違和感に彼女の心は少しだけ引っ掛かった。










「......色々、詳しく聞いてみたいこともあるからな」




少しだけ間を空けて呟く。

その彼の声は何だか少しだけ瞳の中に帯びる色と同じ色をしている。
そんな感じがした。





　

.