mirage of story
 
 
 
 
 


――――。
トンッ.....トントンッ。


ジェイドが固まった身体を解そうとグッと伸びをした。
シエラが未だ起きてこないカイムの様子を見てこようと、彼の居る方に身体を向けた。

その瞬間、その両者の動きを止めるように扉を叩く音が唐突に響いた。








「ん?お客かな?」



そのノック音は外から。
一応、此処は宿屋。
客が来ようとも可笑しくはない。





トントンッ。

再び音が部屋の中へと響く。








「あ、そいえば親父さん出掛けてたっけな。
全く....こんだけ店開けて何やってんだか。

というかだな、此処は民家でもない宿屋なんだから律儀に扉なんて叩かなくても普通に入ってこりゃいいのに......はぁあ、まぁ仕方が無いね。
開けてやりますか」





催促するような二度目の音に、この宿屋の主が今此処に居ないことを思い出す。


――――。
そのことを思い出して、ジェイドはやれやれと呆れ顔で叩かれる扉へと歩み寄った。









「あの.....勝手にお客さん入れちゃっていいんですか?」




「あぁ、うん。
多分いいと思うぜ?

この宿儲かってないからねぇ?確かまだ部屋も在るし.....客が多いことに越したことはないだろう、ハハッ!」




笑いながらそう言う。

........確かに。
そう言っては悪いが、彼の言葉の通りシエラから見ても儲かっているという気配は無い。









──────トントン。





「あー、はいはい。
今開けます、開けますってば!」



急かすように三度目。

ジェイドは声を張って叫ぶ。







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