mirage of story
あの日、どこからともなく舞ってきたレイリスの花びらは、エルザからの別れの言葉だったのではないかと。
さようなら。
そう伝えたかったのだろうと。
(母さん....)
エルザが死んでからずっと抑えてきた想いが、一気に溢れ出した。
涙が止まらなかった。
だから、あえて止めようてはしないで泣いた。
どれくらい泣いたのだろうか。
涙が止まる頃にはもう、さっきまでまだ明るかった空がもうすっかり暗くなってしまっていた。
(......泣いてちゃ駄目よ。
泣いてちゃ、何も始まらない)
そう。
泣いてばかりじゃ何も始まらない。
シエラはただ泣くために、生きているわけではない。
......アイツを。あの男を。
エルザの死の元凶であるロアルを討つため。
そしてあの日、一体自分が意識を失っている間に何が起こったのか。
自分は一体何者なのかを知るために。
そのためにシエラは一人、旅へと出たのだから。
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