mirage of story
笑う彼女に、カイムは首を横に傾ける。
――――。
そんな状況を出来てない彼に、取り敢えず説明しようと口を開く。
「カイム、倒れて寝ていたんだよ」
「倒れた.....え、何で?」
シエラは、くすくすと笑いながら言う。
「覚えていないのね。
だったら理由は聞かない方がいいわ、大したことでは無いから」
「────全然覚えてないよ、俺。
大した理由じゃないって、何だよ気になるなぁ」
カイムはそう言うと、少し困ったように眉間に皺を寄せて考えるような素振りを見せる。
そんな表情がまた、シエラには何だか可愛く見えた。
うーん、と唸る彼。
本当は間違えて飲んでしまった酒に酔って倒れただけのことなのだから教えてもいいのだけど。
そんな理由で倒れた彼を必死になって心配したシエラは、少しだけその無駄な心配の仕返しのつもりで黙って彼を見て笑った。
「あっ!そうだった!」
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