mirage of story
 
 
 
 
 



魔族の王であるロアルでさえ薄らとしか分からないような彼が、果たしてその仲間のことが分かるだろうか?








「────そうだな、うん」



潰えた可能性の次を、頭の中で懸命に探る。







「うーん、分からないなぁ.......」



だが、それ以上の答えは浮かんでこなかった。








「カイム、取り敢えずジェイドさんに聞いてみよう?

多分、まだ向こうの部屋に居ると思うわ!」




やはり、意味も分からないままでは逃げられない。

さっきまで自分がジェイドと共に居た部屋への扉を軽く振り返り、彼女は言う。







「あぁ、そうだな。
.....何も無いのなら、情報とか手に入る前に意味もなく逃げることはない」




これ以上、自分の頭の中で考えても答えは出ない。
そう確信したカイムも、彼女の振り向いた先にある扉を見た。







「よし、行こうか」


「うん」




カイムとシエラは、互いの顔を一瞥して扉へと手を掛ける。








「........一応、剣は持ってった方がいい。
万が一ってこともあるからね」




扉が開かれる寸前に、カイムは思い出したように言った。



カチャッ。
言葉のすぐ後に、部屋の中へ小さな金属音が響く。






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