mirage of story
〜11〜
(.............あぁ、俺もすっかり甘くなっちまったもんだな)
静まり返った部屋の中。
自分の目の前に倒れる一人の少年の姿を見て、彼は嘲るようにフッと笑う。
金色の少し長めの髪を後ろで一つに括っている。
どうやらこれはジェイドの真似をしているらしいと聞いて、思わず呆れ笑いをした思い出がある。
そして今は閉じられている彼のエメラルドグリーンの瞳。
彼の瞳はいつも真っ直ぐで、煌々輝いていた。
そう。
彼は、キトラはジェイドの元同僚であり弟同然の存在であり......そして、敵である。
この少年は今この世界の中心へと確実になりかけている魔族の大国のその軍人。
そう、ジェイドが元居た部隊―――あのライル率いる先鋭部隊のその兵士である。
(────普通は、此処で殺すとか何とかすべきなんだろうけど)
そう思うと同時に、ジェイドの顔に浮かぶ自嘲の笑みが濃くなる。
(......どうも、そういうのは苦手なんだよね)
目の前でぐったりと倒れているキトラ。
そんな彼は、ピクリとも動かない。
そんなキトラの前に居るのは、彼を倒した張本人であるジェイド。
勝者と敗者。
まさにそんな感じの光景だが、倒れる彼はぐったりはしているものの死んではいない。
........。
今のジェイドにとってキトラは敵以外の何者でもない。
ジェイドは反逆者として魔族に追われる身。
だから今此処で彼を殺してしまえば、自分の居場所が伝わることはないし敵の戦力を削げる。
(───だがねぇ)
だが振り下ろし掛けた刃先はキトラへと達することは無い。
刃は寸前の所で止まったまま、数秒停止してフゥと大きく息を吐くと、握る手から力が抜けた。
そしてそんな自分の甘さに思わず自嘲の意の籠もった笑みを溢したのだ。
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(.............あぁ、俺もすっかり甘くなっちまったもんだな)
静まり返った部屋の中。
自分の目の前に倒れる一人の少年の姿を見て、彼は嘲るようにフッと笑う。
金色の少し長めの髪を後ろで一つに括っている。
どうやらこれはジェイドの真似をしているらしいと聞いて、思わず呆れ笑いをした思い出がある。
そして今は閉じられている彼のエメラルドグリーンの瞳。
彼の瞳はいつも真っ直ぐで、煌々輝いていた。
そう。
彼は、キトラはジェイドの元同僚であり弟同然の存在であり......そして、敵である。
この少年は今この世界の中心へと確実になりかけている魔族の大国のその軍人。
そう、ジェイドが元居た部隊―――あのライル率いる先鋭部隊のその兵士である。
(────普通は、此処で殺すとか何とかすべきなんだろうけど)
そう思うと同時に、ジェイドの顔に浮かぶ自嘲の笑みが濃くなる。
(......どうも、そういうのは苦手なんだよね)
目の前でぐったりと倒れているキトラ。
そんな彼は、ピクリとも動かない。
そんなキトラの前に居るのは、彼を倒した張本人であるジェイド。
勝者と敗者。
まさにそんな感じの光景だが、倒れる彼はぐったりはしているものの死んではいない。
........。
今のジェイドにとってキトラは敵以外の何者でもない。
ジェイドは反逆者として魔族に追われる身。
だから今此処で彼を殺してしまえば、自分の居場所が伝わることはないし敵の戦力を削げる。
(───だがねぇ)
だが振り下ろし掛けた刃先はキトラへと達することは無い。
刃は寸前の所で止まったまま、数秒停止してフゥと大きく息を吐くと、握る手から力が抜けた。
そしてそんな自分の甘さに思わず自嘲の意の籠もった笑みを溢したのだ。
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