mirage of story
いや、お互いこの状況を脱出するために見出だせた答えが"戦う"ことしか見付けられなかったのかもしれない。
「行こう」
―――ザッ。
短いカイムのその言葉に、二人は同時にジェイドの両サイドへと飛び出す。
片手には剣を。
そしてもう片方の手で、顔を隠すために深々と被ったフードを勢いよく脱ぎ捨てた。
「おやおや、結局こうなっちまうかね。
まぁ......この状況じゃ、仕方無いか。
行けるかい、嬢ちゃん達?」
両サイドに飛び出した二人の姿。
ジェイドはフッと一瞬諦めたような笑みを見せて、それからまたいつものように笑って聞く。
「はい!」
声を揃え答える二人。
「ハハッ!その顔なら大丈夫か!
.......ふぅ。どうやら俺はお前達のことがどうにも気に入っちまったらしい。
嬢ちゃん達。
この一件が無事終わったら、色々話してやるよ?
今度は.....何にも隠さずに全部な」
シエラとカイムの威勢のいい返事に、ジェイドは二人の顔を一瞥する。
そして視線を前に戻して、そのままシエラたちに視線を向けずにそう言った。
いつもの如くに浮かぶ笑みは、偽ったような嘘の笑みじゃなく本当の心からの笑みだと感じた。
「それじゃあ行くぞ。
カイム、嬢ちゃん!」
闇を突き抜けるように張り上げたジェイドの声が、空気を小刻みに震わす。
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