mirage of story
「────.....轟け」
「!?」
ゴゴゴ...ゴゴオォ!
地に突き立てられた槍。
短く呟き落とされた言葉。
その瞬間、彼の落とした短い呟きに従い今まで立っていた大地が轟音と共に轟き始める。
ッ、―――ッ!
凄まじい轟音。
そして轟音と共に激しく上下する大地。
大地が、空間が彼の――ジェイドの魔力に従う。
「クッ.....!」
激しく上下する大地に、ライルは身動きが取れずに蹲る。
立っていることすら出来ないこの激しい大地の揺れ。
ライルは体勢を維持するために剣の鞘を地面に突き立て、それにしがみ付く。
「────悪いな、隊長。
.....これで終わりだ」
そんな轟音と揺れの中で何事も無いように立ち続けるジェイドは、蹲る彼を見下ろす。
ッ。
さっきまで浮かべられた笑みはもう無くて、不気味な程に冷静な瞳はライルを残酷に見下ろしていた。
「じゃあな、俺の───心の友よ」
いつもと打って違う、残酷な程に冷静な声の響き。
ゴォオッ――――!
その言葉と同時に現れた凄まじい風の渦が身動きの取れないライルを容赦なく包み込んだ。
「―――!」
風の中から聞こえる苦痛の叫び。
だがそんな叫びすらも凄まじい風の音に負けて言葉に成らずに消えていく。
(────....)
ジェイドはその消えゆく声から耳を背けるように視線を下へと逸らした。
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