mirage of story

〜2〜









「────ちょう....」



静かな場所へと墜ちた意識。
それが遠くから耳鳴りのように聞こえる何かにより、段々と覚醒されていく。








(.......俺は....生きてるのか)



まだ覚醒仕切らないボーッとした頭。
そんな中で彼は、ライルは自分の生を確認する。


――――。
徐々に戻ってくる感覚。
ッ。そして襲ってくる、全身を走る激痛の波。







(ッ！)



戻ってきた身体の感覚。その感覚が彼を一気に現実へと引き戻す。








「隊長っ！」



さっきまではっきり聞き取れなかった声がようやくはっきり聞こえてきてライルの鼓膜を震わせる。







(誰かが俺を呼んでいる。目を....目を開けないと)



目覚めなければ。
痛む身体に鞭を打ち、自分を呼ぶその声に答えるため固く重なる瞼を力を込めて抉じ開けた。








「隊長っ！大丈夫ですか！？」



目を抉じ開け最初に見えたのは、自分の身を心配してこちらを覗き込む部下の姿と闇夜に煌めく月。

あぁ現実に戻ってきた、そう実感し薄く笑う。








「.......キトラ。
あぁ、大丈夫だ」



今にも泣き出しそうな程に自分の身を案じる部下である少年。
そんな少年キトラを安心させるようと、自分の無事を示そすべく横たわった身体を起こす。







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