mirage of story




 
 
 
 
 
どうしても、どうしても知りたい。

自分に足りないのは何なのか?
忘れているものは何なのか?
それを知りたい。



――――!
その意気が、空間全体に浸透していった。









"それはお前自身が気付かねばならないこと。我が言うことではない。

........それに気付くことこそ、お前にとっての最大の試練なのだから"




(────俺自身が、気付かなくてはいけないこと)






"そうだ。お前がそれに気付くことが出来た時、お前は真の強さを得る。

その時こそ、お前が我の真の契約者として覚醒する時ぞ"





強い炎竜の言葉。

その言葉にはライルへの期待や希望、そして少しの哀れみの意が渦巻いていた。













"........さぁ、もう行け我が契約者よ。己の信ずる道へ。

そして気付け。
本当に大切なものを失ってしまう、その前にな"




........。
暫く間を置き、炎竜は何かの決意を込めて彼へ言った。








「我はお前を信じておる。

────また会おう。我が契約者よ」




今まで間近に聞こえていた炎竜の声の響きが、だんだん遠くなっていくのが分かった。


――――。
あぁ、現実に戻るのだ。
ライルはそう心の何処かに感じつつ、炎竜の放った言葉を胸に響かせながらそのまま意識を薄れる感覚に任せて静かに瞳を閉じた。







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