mirage of story
〜2〜
「.....急がねば」
一人の男が、一枚の紙切れを握り締めて走り出す。
恐らく行き先は、城。
だが、向かう先には夜の闇が支配していて見えない。
だが、それでも構わずに闇の中を走り去っていく男。
その男の姿を、覆い繁る木々の影から夜の闇に溶け、見る人影があった。
「────行ったか」
その人影は、男の姿が完全に見えなくなるのを確認して
身を隠していた木陰から、ゆっくりと姿を現す。
顔を覆うように、深く被ったフード。
纏う物の殆どが黒色で、木陰から出てきても闇に溶け込んでしまいそうだ。
フードのせいで、顔は見えないが
声からすると、どうやら若い男のようだった。
「後は、先程の奴が我々の代わりに届けてくれるだろう。
......我々の、内に在るこの想いを」
そう言う男の手には、男の姿で唯一闇に飲まれぬ色をしているもの.....弓が握られていた。
弓は金属で造られているようで、夜に浮かぶ月の微かな光に反射して
美しく銀色の光沢を帯びている。
そして
風に翻るマントの背には、闇に浮かび上がる紋様。
......そう。
それは、先程男が握り締めていった紙切れに描かれていたものと同じものだった。
マントの男は、揺らめく月を見上げて
それから、矢の刺さった木の方へとゆっくりと歩み寄る。
─────ザッ。
「.....急がねば」
一人の男が、一枚の紙切れを握り締めて走り出す。
恐らく行き先は、城。
だが、向かう先には夜の闇が支配していて見えない。
だが、それでも構わずに闇の中を走り去っていく男。
その男の姿を、覆い繁る木々の影から夜の闇に溶け、見る人影があった。
「────行ったか」
その人影は、男の姿が完全に見えなくなるのを確認して
身を隠していた木陰から、ゆっくりと姿を現す。
顔を覆うように、深く被ったフード。
纏う物の殆どが黒色で、木陰から出てきても闇に溶け込んでしまいそうだ。
フードのせいで、顔は見えないが
声からすると、どうやら若い男のようだった。
「後は、先程の奴が我々の代わりに届けてくれるだろう。
......我々の、内に在るこの想いを」
そう言う男の手には、男の姿で唯一闇に飲まれぬ色をしているもの.....弓が握られていた。
弓は金属で造られているようで、夜に浮かぶ月の微かな光に反射して
美しく銀色の光沢を帯びている。
そして
風に翻るマントの背には、闇に浮かび上がる紋様。
......そう。
それは、先程男が握り締めていった紙切れに描かれていたものと同じものだった。
マントの男は、揺らめく月を見上げて
それから、矢の刺さった木の方へとゆっくりと歩み寄る。
─────ザッ。