mirage of story
 
 
 
 
 

 
 
歳も違った。
身分も違った。
だけど....だけど、それでも大切な友だった。





(五年前の戦乱の後。ルシアスが戻ってこなくなり皆姫は死んだのだと諦めていたその時、お前は―――ジェイドは城にまで乗り込んで俺の味方をしてくれた。
ずっと一緒に信じてくれた。
それなのに)




なのに何故、そのルシアスの仇であるあの人間たちに味方するんだ?

何故だ。
どうしてなんだ。





――――ッ....。

じわりと、ライルの閉ざされた瞳から熱いものが溢れだす。






(.....ルシアスが過去となっていないのは、未だ囚われ続けているのは俺だけなのか?)



ルシアスが過去となる。

すなわちそれはルシアスの受けた苦しみを哀しみを全て無かったものだと消し去ること。
耐えられなかった。
それだけはどうしても。






(ジェイド、お前には何か考えがあってやっているのか?
それとも本当にそこまで墜ちたのか?)




じわり濡れる涙が、頬を伝うのが分かった。
その涙の雫はそのまま口元へと流れて乾いた唇を湿らせる。

ッ。
その涙は、何処かとても哀しい味がした。








(.....お前の無念を晴らすまではお前を過去にすることは出来ない。
例え世界の全てを敵に回したとしても、俺は――――) 







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