mirage of story
指輪を手にしたその人は、力で人を....世界を支配した。
そしてその人は
力に己を支配された。
手にした力は、二つの力が織り成す力はあまりに強大で
人を、世界を....そしてその人自身を全て巻き込み、狂わせ壊していった。
「ハハ....ハハハハ」
魔族たちを従えて、全てを手に入れて
それだけでは、暴走した欲望は留まらずにその人は世界を破壊した。
制御は出来なかった。
その人はもう"人"ではなくて、"人の形をした人為らざるもの"。欲望の塊と化していた。
地を荒らし、森を焼き尽くし水を枯らした。
澄み切った青で、人々を見守っていたはずの空は鉛のように淀み、その空の欠片が世界に降り注いだ。
世界は.....死んだ。
たった一人の人が手にした、二つの指輪。
それは古の竜たちが世界の平和を願い、人の世界の繁栄の祈りの籠められた指輪。
その指輪が、世界を壊すことになるなど誰が想像しただろう?
世界の永遠の平和を祈った水竜と炎竜さえ、想像など出来るはずもなかった。
世界が壊れ、壊すものすら無くなった世界で
力を手にしてしまったその人.....哀れなその人は、力を全てを飲まれてその身を滅ぼした。
壊れた世界。そして失われた世界の支配者。残されたのは、無力な人。
そして力の支配者を失い、静寂を取り戻した二つの竜たちの指輪。