mirage of story
知識の集う街
〜1〜






「街の散策でもして来いって、ジェイドさんに言われて来てみたけど......」




白を基調に整えられた清楚で落ち着いた街並み。
ベージュと茶色の煉瓦を交互に敷き詰めた街道は、何処かクラシカルな雰囲気を醸し出し、心和ませる。


その街道を靴音を立てて行き交う人の影はパラパラ。
しかもその行き交う人の殆どはキチッとした服装に身を包み、優雅に過ぎ去ってく。



そんな中をいつも身につけていた外套を取り払い身軽になった格好で歩く自分達が何だかとても浮いている気がして、シエラは隣を歩くカイムを見た。








「これからどうする、カイム？」




「んん....まぁ、とりあえず色々回ってこの街を見て見ようか？

此処は魔族と人間、両方にとって重要な資料が保管されている街だから、魔族の奴らも迂闊には手を出せない街だってジェイドさんも言ってたし.....のんびり観光してみるのも、いいのかもしれないな」




街の雰囲気に少しオドオドと落ち着かない様子のシエラに対して、カイムは然程気にはしてない様子。

キョロキョロと辺りを見回して、興味深気に街の景観を眺めてカイムは答えた。





「そ、そうだね」



平然とそう言い歩き続けるカイムに、何か微妙な温度差を感じてシエラはサッと平然を装った。





　
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