mirage of story
振り向いたジェイドの顔は、いつものように笑っていた。
「しけた顔なんてしてたら、この美貌が台無しだからな?
......こんなこと頼めるのは、あんたしか居ねぇから。
本当に感謝してる」
そう言って、ジェイドはさらに笑った。
そして、つられるようにセシルも笑みを濃くする。
二人視線を合わせ、笑い合った。
「―――――では、行きますね」
暫らく二人笑い合って、不意に差し込んできた窓の外からの光がそんな二人を照らし出した。
視線を合わせていた二人は、その光に目を向けて眩しそうに目を細める。
そして数秒して、セシルが静かな声で言った。
「.....あ」
身を翻しジェイドに背を向け、窓のある壁とは反対側の壁にある扉へと歩き始める。
数歩。
足を前に踏み出して、不意にそう声を上げてセシルは進める足を止めた。
「でも、今からやることは誰にも秘密です。
バレると色々とうるさいですから。
秘密です。
私とジェイド、二人だけの」
軽くジェイドの方を振り返り、セシルは桜色の綺麗な唇の前にスッと人差し指を立てて言った。
あの日と同じ。ジェイドとセシルが初めて会ったあの日と記憶が重なった。
悪戯っぽく。
でも、そんな彼女はとても綺麗。
ジェイドの胸は、あの時と同じように鼓動は速くなっていた。