mirage of story
フワリと髪を揺らしてセシルは前を向き直すと、彼女はそのまま扉の外へと歩いていった。
バタンッ―――。
扉が閉まって、彼女の姿は見えなくなった。
再び閉め切れられた部屋の中には、本特有の少しだけ黴臭いようなでも不快には思わない匂いが鼻につく。
部屋の中にはジェイドと、彼を囲むように在る大量の本だけ。
ジェイドの息でまだ少しだけ曇りの残る窓の外には、穏やかすぎる程の街の風景が広がっていた。
「........はぁ」
そんな中で一つ落とされた溜め息には、ジェイドの様々な感情が籠められていて、その溜め息は虚しく部屋を生め尽くす本の山に吸収され消えた。