mirage of story
"人間の撲滅"と"宣戦布告"。
それはこの世界を支配する二つの種族のうち一つが、居なくなるという大惨事。
その時がもうすぐそこまで迫っているということを感じさせないような、穏やかな時間が流れる空間でライルはロアルの発する言葉を待った。
「......急いてなどいない。今がそれに相応しい時と判断したまでよ。
今を逃せば、世界に逆風が吹く。手遅れとなる前に先手を打つことが、戦に勝つためには必要不可欠だ」
「.....人間達に不穏な動きがあるというような情報、俺は聞きませんが?」
ライルはロアルの言葉にそう切り替えす。
今のロアルの口振り。まるで人間達が、自分達魔族への反乱を企てているかのよう。
もしそんな動きがあるのなら、人間達との戦いの最先端にいる軍部のものが気が付かないはずがない。
だがそんな動きがあるということは、ライルも誰も把握していない。
「私の言葉が信じられぬか?
目には見えなくとも、私には判るのだ。奴等がこれから我等に対して何か良からぬことを起こそうとしているのは、明白。
.........時は満ちるまで、もう僅か。
奴等のような虫けら如きに潰されることなど、あってはならん。そうなる前に木っ端微塵に叩き潰さねばな――――」