mirage of story
〜5〜









青くて蒼い、美しい竜は私に優しく笑った。




竜。水竜。
正真正銘、本物の竜。

そんなの伝説上のものだと思っていた。
もうこの世界には存在しない生き物だと思っていた。








なのに、私は知っている。

知っているのだ。
この美しき竜が纏う蒼を。





水竜の指輪。
それは魔族だけが扱うことが出来る、竜が宿る指輪。

そして今私の目の前に居るのは、その指輪に宿る水竜。












どうして。
どうしてその竜を見たことがあるのか。
どうして知っているのか。

........どうしてこんなに、こんな気持ちになるのか。






懐かしい。

何かずっと長い間無くしていたものが、私の中に戻ってきたような。
欠けていた何かが、満たされていくような。



私が、私の全てが目の前に現れたこの竜を求めている。
そして私の全てが、この竜の存在を受け入れている。

自分でも理解し難い感覚が、衝撃の波となって私に押し寄せる。





















"................記憶では喪ってしまっても、その魂は我のことを覚えていたか。

命を賭け契約をした、この我の存在を"




水竜の声が響く。
私は自由に動かない身体のまま、瞳だけを向けてそれを聞く。



腕を水に浸したままの状態だが、冷たさは感じない。

まるで私の意識と水竜だけが、この空間にあるよう。
周りの景色は変わらないが、私達以外全てが止まっているように見えた。









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