mirage of story
〜6〜









「おい、カイムー。
嬢ちゃんは、まだ帰って来ねぇのかい?」




すっかり陽が落ちて、暗くなった森の中。
気温もグッと下がり、寒々しい夜がまたやって来る。


そんな森の中の一角。
パチパチと弾ける音を上げて燃える焚き火を囲み、ジェイドは気の抜けるような声で言う。











「.......まだ、みたいです」



そんなジェイドの言葉に、カイムはシエラが消えていった森の奥を見つめて答える。



暗くなった森。
森を包む何やら神秘的な力のせいか真っ暗にはならないが、陽があるのと無いのとでは格段の差で暗い。

事実カイムの見つめる一寸先は、もう薄暗くてはっきりとしない。














「シエラ........大丈夫でしょうか?」



「大丈夫だろ?
まぁ、最悪でも迷うくらいだ。安心しな?」





いや、シエラの方向音痴を知っているカイムとしては、その迷うことが心配なのだが。
心配するカイムとは逆に、さして差し迫った様子も見せずにジェイドは笑う。













「ったく、仕方ないねぇ。

なぁ、ロキちゃーん?
嬢ちゃんが行った泉ってのは、そんな迷うような所じゃねぇんだろう?」



大丈夫だと言っているのに心配そうな顔のままのカイムに、ジェイドは呆れ笑いの溜め息をつく。

そして焚き火に向けていた身体をグッと捻り、この場に居るもう一人の方に声を掛ける。



一方、声を掛けられた男。つまり焚き火から少し離れた場所で何をするでもなく、木の幹に凭れながら立つロキは視線だけを動かしてジェイドの方をチラリと見る。










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