mirage of story
「............迷うような所ではない。
森を流れる水を辿れば必ず辿り着く。
馬鹿でも迷わない」
感情も込めずにロキが言う。
だが、感情を込めない割には随分とはっきりと言う。
「だとよ?
だからそんなに心配しないでも、そのうち帰ってくるさ」
「甘いですっ!
そういう場所で見事迷うのが、シエラなんです!」
「..........」
真面目な顔で、さらりとなかなか酷いことを言う。
でもカイム本人はそんなことには気が付かずに、至って真面目に心配しているので悪気は全くない。
でも逆にその真面目さが、言葉の説得力を増させる。
「捜しに行った方が.......いいかねぇ?」
カイムの言葉の妙な説得力に、ジェイドも何だか心配になってきたらしい。
暫く沈黙して、それからそわそわしたように立ち上がった。
そしてジェイドもカイムと同じ方を向く。
「――――捜し行くか」
「はい。
でも、此処を全員で離れるわけには.....。火や寝床の番もありますし。
俺一人で捜しに行きます」
「一人で大丈夫か?
でも、うーん.....そうだな。
まぁ確かに、全員で捜しに行くわけには、行かねぇわなぁ」
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