あおいぽりばけつ
「お待たせ致しました」

彼女と出会ってから、毎日が目まぐるしく過ぎていく。味気無い日々だったのに、五感を揺さぶられ毎日が楽しくて、苦しくて、辛くて、幸せな日々になっていた。

「ありがとうございます」

悴んだ赤い手から受け取る花束は、軽いのに重たく感じた。これから、想いを伝えると考えると足の裏が急にこそばゆくなった。

「寒い中、お疲れ様です。ありがとう」

受け取る寸前、店員の手に一度触れた。冷たくて、小さくて、少しささくれた手だった。

白い小さなかすみ草。それは彼女の様に可憐で儚げで、あどけない。だけど何処かミステリアスで妖艶な気もする。真ん中には、赤い薔薇。彼女の心の真ん中は、赤く燃え滾っている。その火に、触れたい。白い無垢なヴェールに覆い隠された真っ赤な心に触れていっその事、燃えてしまいたいといつしか思うようになっていたのだ。

我ながら、気持ちを込めすぎて気持ち悪い気もしたけれど、彼女の目を見たら分かる。生半可な気持ちでぶつかったとて揺らがない。ならば出来る限り、可能な限り、最大限にぶつかってやろうと決めた。

「そろそろ終わる頃かな」

車に乗り込み、会場へと向かう。運転する手が小刻みに震えて、なんだかっこ悪いな、と自嘲気味に笑った。
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