あおいぽりばけつ
懐かしい顔ぶれの輪に入り、成人式は恙無く進む。
心の何処かで会いたいと願った陸の姿は未だ見えない。ほっとした気になって、すぐ胸が痛む。でもきっと着慣れない帯の締め付けのせいだろう。

「伊織!写真撮ろ!同中の子達あっちおんで!」

そんな事を考えてぼんやりしていると、後ろから声がした。振り向いて風を起こそうとした瞬間、友人に手を掴まれて寒い外に向かう。

貴方達は今日から大人の仲間入りです。
自覚を持って生きてください。
責任を持って生きてください。

偉い人の言葉が頭を跳ねる。縦横無尽に私の頭の中を、勝手に。
そんな事を言われたって、青春時代を懸命に生きて来たのに、自覚も責任もそれなりに背負って来たはずなのに。まだまだだと、暗に言われているのだろうか。

そんな下らない事を考えるのも、私の駄目なとこ。きっと、ずっと治らない、駄目なとこ。

「吉岡〜!久しぶりやね!元気しちょったん?」

半ば無理矢理、引っ張られ飛び込む懐かしい顔が待つ輪。
私目掛けて手を振る旧友の顔を見ても即座に名前が出て来ない。
当たり前だ。真っ黒に日焼けして部活に明け暮れていた子供の頃のイメージしか無いのだから。
皆、綺麗に化粧をして着飾っている。懐かしさに頬が崩れて、胸がぽかぽかと温かくなった。

「伊織もう就職しとるんやろ?びっくりやわ!」

「なんでぇよ。しっかりOLしとるんじゃけぇ」

人の群れの中、探す二つの背中。
胸を焦がす、会えなくなった想い人。
安らぎを与える、私を想う人。

どちらの背中も、見つからなければいいのに。
心で呟いて眩いシャッター向けて私は笑んだ。
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