あおいぽりばけつ
無言の二人を嘲笑うかのように、再び軽快に話し出すラジオDJ。淡々と垂れ流す交通情報に耳を傾けて高柳さんが静寂を破った。

「早すぎか思うたけど、早めに出とって良かったね」

どうやら道路は渋滞。少し遅ければ私たちも今頃渋滞の餌食だった。
私たちが住む場所も田舎でお世辞にも都会とは言えない。だが今走る道、窓から飛び込む景色もなかなかに田舎だ。

「知らない町って、ワクワクしますよね」

窓の外を見て呟くと高柳さんが笑った。

「わかるわ〜。なんかなんやろ、知らねぇ町〜〜!!ってなるよな」

寂れた個人商店も、古びたバス停も、やたら広い学校も、よく見る風景なのに何処か非日常的で異世界に飛ばされた様な気持ちにさせる。

「観光名所がさ、どこもちょっと離れとるんやけどそこも田舎あるあるよなぁ」

カーナビを見ながら高柳さんが話す事、全てが私を退屈させない。
運転をする横顔、笑った時に出来る目尻の皺、目立つ喉仏。それを見てもときめく所か陸を思い出して辛い。
私が何か投げ掛けても無視をする陸を恋しく思う。蒸し暑い体育館で見た、陸が、横顔が、私を疼かせる。

「伊織ちゃん、一緒に観光する?」

「……しますよ」

とても優しいこの人に、こんな悲しい事を聞かせる自分が反吐が出る程嫌いになりそうだ。

また会話が途切れて私は黙って窓の外を眺める。
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