あおいぽりばけつ
「なんでそんなめかし込んどるん」

二次会を抜け出して走る私を、薄い微笑みで迎え入れる陸。足に合わないパンプスを気にしていると、「結婚式言うとったな」と小さく言って、私の手から大きな引き出物の袋を奪い取った。

「重たっ」

一人けたけたと笑う陸が愛おしい。どんな事があろうと、変わらない。病める時だとか健やかなる時だとか、そんな事関係無くて私の体の一部に【愛しさ】が溶けて染み込んでいた。そしてその【愛しさ】は【憎さ】と隣合わせ。

大好きで、愛おしいのに、大嫌いで、憎たらしい。

「お皿とバームクーヘンと、なんかいっぱい貰った」

「ど定番の引き出物じゃな」

陸に会う為に走る街は暖かくて、暑いくらいだなんて思っていたのに、ゆっくりと二人で歩けば肌寒い。くしゃみをしたって、陸は興味も無いだろうと思いながら鼻をムズつかせていると陸が立ち止まった。

「寒いんか?」

「ん、ちょっと走ったから汗が冷えたみたいやわ」

粟立つ腕を二度三度擦り言うと、ふわりと温かくなる。

「……上着持って来いや」

「……平気かなって思ったの」

肩を組まれて、伝わる温もりなんてほんの少しなのにどうしようも無く温かく思えた。控え目に擦り寄って陸の温もり、香りを感じて、こんなに好きなのに、どうして気持ちが伝わらないのかと悲しくて泣けてくる。

「陸は結婚式とかしたい派?」

「面倒じゃけぇ絶対したぁない」

いっそ感情のメーターが振り切れて、憎めたら楽なのに。そうすれば今頃、私はまだ二次会でお酒を飲んでいたんだろうな。

結婚式の為にラメをいつもより多く使ったから、頬に流れる涙は天の川の様に輝いていた。
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