社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 げらげら笑っている彼を森さんが「失礼だぞ」と苦笑しながらたしなめている。でも森さんも、心の中では「前原には反応しない」という名取さんの発言に同意しているのだろうなと思った。

 でも、それでいい。

 無駄に大きな背も胸も、私にとっては邪魔なだけだから、男性が反応しないと言ってくれるなら願ったり叶ったりだ。

 ふと入口ドアが音を立て、背の高い男性が入ってくる。

 完璧に整っているはずの顔がどこかのっぺりして見えるのは、目があまり開いていないせいだ。くあっとあくびをしながら、社長が私たちの前を通りかかる。

「社長! おはようございます。いいところに」

「あ?」

 名取さんが呼び止めると、彼は寝ぼけ眼の延長といった顔で足を止めた。

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