社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「えええ⁉ いやいやいや、ただひとり暮らしに必要な費用を聞いただけで、一緒に住むなんて言ってないですよ!」
手を振って否定する私を押しのけるようにして、名取さんが社長を見上げる。
「いまどきシェアハウスなんて普通ですよねー。しかも前原ちゃんすよ。変な気起こすわけないし!」
あははと楽しそうに笑う営業マンを横目でにらみつけた。
ひどい。なんというデリカシーのなさ。
そりゃ私みたいなどこぞの畑で掘り起こしてきたお芋に欲情なんてする人はいないだろうけど、わざわざ社長に確認しなくたっていいじゃない。
さっきまで願ったり叶ったりなんて思っていたのに、どういうわけか、社長に真正面から『対象外』と言われるのはイヤだった。