社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 私が同じ間違いをしたり要領が悪くて覚えるのに時間がかかっても、彼女は決して声を荒げることなく、辛抱強くかつ丁寧に指導してくれていた。

 それに対して社長はすぐに怒鳴る。同じ失敗をしようものならコテンパンに叱られる。朝はぼんやりしているし基本的には紳士だけど、仕事にはめちゃくちゃ厳しい。

 でも、一番の問題は私自身だ。

 ワンアクションにつき三回は怒鳴られている。自分の仕事のできなさ具合に泣きたくなるけれど、泣いてる場合じゃなかった。 

「失礼しまぁす。LANAの小柳ですぅ」

 入口の方から声が聞こえて、はっとする。

 社長が出迎えに行って、私も大きな背中に続いた。

 開きっぱなしのドアの向こうにアパレルブランド『LANA』の担当者が立っていた。男性と女性がひとりずつ。さすがアパレルの人といった感じで、ふたりとも髪の色が明るいし、とにかくあか抜けている。

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