社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 打ち合わせ中も資料そっちのけでずっと社長を見ていたし、廊下でよろけて寄りかかってみたり、腕に触れてみたり、ことあるごとにスキンシップを図っていた。

 新庄さんがいなくなったことをあからさまに喜んでいたし……。どこから見ても社長とお似合いで、しかも付き合っていたという噂のある新庄さんにはさすがに引け目を感じていたのかもしれない。

 新庄さんには及ばないけれど、小柳さんもきれいな人だ。社長は終始笑顔だったけれど、わかりやすく熱視線を送っていた彼女のことをどう思っているのだろう。

「前原!」

「は、はい!」

 通路の向こうから声が放たれて、私は背筋を伸ばした。

 いけない。ぼんやり考え事をしている場合じゃなかった。

「さっさと撤収!」

「はいい!」

 小柳さんたちに見せていた笑顔を完全に消し去った仕事モードの社長にせっつかれながら、私は片づけを済ませて八階をあとにした。

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