社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
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バス停から徒歩三分の五階建てマンションは、五年前にリノベーションをしてそこそこきれいだけれどエレベーターがない。
仕事を終え長い間電車に揺られて帰ってきた足に、四階までののぼり階段は富士登山とまではいかなくとも、軽い山登りを彷彿とさせて、げんなりする。
「はああ、疲れたあ」
「……かえり」
玄関を開けるとすぐコンロ口が二つのキッチンと、狭いダイニングを占領する四人掛けテーブルが目に入る。いつもの場所に座った妹の梨香は濡れた髪を肩に垂らしておざなりに拭きながらテレビを見ていた。
「お母さんは?」
高校のジャージをパジャマにしている妹は画面に目を向けたまま傍らにある洗面所を指さした。細くて飾り気のない指を見て、私はバッグを置きキッチンで手を洗う。