社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
妹はお気に入りのイケメン弁護士が出演中のテレビ番組に夢中で『話しかけないでオーラ』を全身から漂わせている。そのとなりには、ひとり分の夕食が用意されていた。母と梨香はすでに食事を済ませたらしく、流し台に洗浄済みの食器が伏せられている。
今日の献立は妹の好物の豚肉のしょうが焼きと私の好きな卯の花だ。皿にかかっていたラップを剥がし、逆さまになった茶碗にほかほかのごはんをよそった。私の手のひらに収まる小ぶりの茶碗に軽く一杯だけ。こんな時間から食事をとるなんて愚行以外のなにものでもないけれど、空腹には勝てない。
「いただきます」
「それだけ?」
テレビ番組がCMに切り替わったタイミングで梨香が声をかけてきた。
「寝るまでにお腹すかない?」
スマホをいじりながら興味なさげに言う妹は、私とはまったく似ていない。同じ両親の血を引いているにもかかわらず、梨香はとても華奢だ。