社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 紳士な男前と口の悪い王子様だ。なんて思っていると、紳士な男前が私に気づいて小さく会釈をしてくれた。

「新しい子、ですか?」

「ああ。前原、こいつらはうちの顧客で、俺の大学時代の後輩だ。こっちの男前が結城遼介(ゆうきりょうすけ)。広告制作会社を経営してる」

「小さな会社ですけどね。はじめまして、前原さん」

 にこりと微笑んでくれる紳士な結城さんとは対照的に、奥に座る口の悪い王子様は私には一切興味がなさそうに脚を組んだままドリンクカップを口に運んでいる。新井社長がため息をついて顎をしゃくった。

「で、そっちの態度が悪い方が峰島蒼史(みねしまあおし)。うちの顧問の神谷法律事務所に所属してる弁護士先生だ」

「弁護士⁉」

「なんだよ、文句あるのか」

 はっきりした二重の目にぎろりと睨まれ、肩を縮めた。

「い、いえ」

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