いちごキャンディ×ブラックチョコレート
私、なんてことをしてしまったの。

後悔の波が押し寄せてくる。

そして次第に鼻の奥がツンとして視界がにじみだした。

涙がでそうになって必死に唇を噛みしめる。

声に出したら涙が出そうだから、心の中で何度も何度も謝った。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

私のせいでこんなことにと。


「もういい加減にしてくださいって。俺、今真面目に……依知子?」


目が合いそうになる。

今目を合わせたらダメだ。


「どうしたの依知子」


声をかけないで。


「汐理。俺、追加でおしぼり持ってくるから」

「ありがとうございます」


園崎さんがいなくなると、汐理さんは私のそばにきてそっと背中をさすった。


「大丈夫?気分悪い?」


小さく首を横に振る。


「無理すんなよ。何かあったらすぐ言いな」


もう唇を噛みしめるだけじゃ、涙はこらえられなかった。
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