いちごキャンディ×ブラックチョコレート
声のする方(つまりは後ろ)を見ると、そこには声の主、楢本依波がいた。

なんでやつがこんな所にいるんだと頭を抱えたくなった。


「知子ちゃんってば!」


久々に見る兄。

何も変わっていない。

見た目は勿論、そのうるさいところや空気を読まないところも。


「はあ……」


深い深いため息が出た。

自分でもびっくりするくらい深く大きなため息。


「シカトにため息だなんて、酷いよ!」

「依波が現れなかったらどっちも起こりえなかった」

「知子ちゃんのためにここまで来たのに……」

「迷惑だ!!」


何が私のためだ。

彼女の家を追い出されて住む場所が無くなったから私のところに来たクセに。


「ところで知子ちゃん。お隣さん誰?」
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