いちごキャンディ×ブラックチョコレート
5.だから私は求めた
ゆっくりと意識が覚醒する。

瞼は重く、開くことが叶わないが、ここが自宅ではないということは、自分の部屋とは違う匂いで確信する。

そうか。

そうだった。

泣き腫らした私を見かねて槇さんが自宅に泊めてくれたんだった。

今私はどこで寝ているんだろう。

寝る前の記憶がない。

気づいたら寝ていたような気がする。

現状を把握するために私はゆっくりと腫れぼったい目を開けた。

薄暗い中、自分がベットの上にいることが分かった。

ここは多分槇さんがいつも寝ている場所。

あたりを見回すが、ベットのところに槇さんはいない。

その代わり、少し離れたところ人が動く気配がした。

床にいるあの黒い物体はもしかして。
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