いちごキャンディ×ブラックチョコレート
「槇……さん?」


もう一度名前を口にすると、槇さんの抱きしめる力が弱まった。

ふーっと長い溜息の後。


「とりあえず、寝よう」


彼はそう言った。


「はい」


拒否するとまた同じことの繰り返しになるので素直に返事をする。


「因みに俺が寝てる間にベットから出て、床で寝てたら怒るからな」

「っ!!」


ば、バレている。


「当然だ。だから……はい」


先にベットに入ったかと思ったら両手を広げて待機する槇さんの姿がうっすらと見えた。


「あの……な、なにを」

「逃げないようにホールド」

「えっ。いや、その」


先程まで抱きしめられていたとはいえ、こんなあからさまな。


「ほら、おいで」

「…………」


叶わない。

素直に彼の言葉に従ったのだった。
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