お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
(……千花? え? 私!?)
一瞬ぽかんとした千花だったが、すぐに大きく目を見開く。
「なな、なに言ってるんですか! 熱で頭までおかしくなっちゃったんですか!?」
修矢が変なことを言うものだから、千花の心臓が飛び跳ねた。修矢のか細い声がかえってセクシーに聞こえたせいもある。
ところが動揺する千花に、情け容赦のない言葉がかけられる。
「冗談も通じないのか」
「じょ、冗談……」
こんなときにからかうのは勘弁してほしい。とはいえ病人を相手に苦情は我慢だと、千花が必死にこらえる。
熱があるというのに、修矢はニヤッという笑みを浮かべた。
「もうっ、知りませんから」
立ち上がりかけた千花の手を修矢が咄嗟に掴む。
「水。水をくれ」
「……わかりました。ちょっと待ってくださいね」
からかわれた悔しさから千花はため息を軽く吐いて、しぶしぶといった態度を見せつける。
冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取って戻ると、修矢が上体を起こすのを手伝ってから手渡した。
修矢はそれを一気に半分ほど飲み干すと、再びベッドに横になり、今度こそ本当に眠りについたのだった。