お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

夕食の片づけを終え、シャワーを浴びた千花が再び寝室へ顔を覗かせたとき、修矢はすでに眠っているようだった。

起こさないように静かにベッドに近づき、新たに持ってきたミネラルウォーターのペットボトルをベッドサイドに置く。
修矢の顔を覗き込んでみると、昼間は胸を上下させるほど呼吸が荒かったが、ずいぶん落ち着いて見える。修矢が言っていたように、明日には下がるといいが……。

ベッドサイドに膝を突き、千花は薄明りの中、穏やかな顔をして眠る修矢を眺める。

(さすがに眠っているときは、気難しそうな顔はしないんだ)

そんなことを考えてクスッと笑った。

(それにしても、綺麗な顔立ちしてるよね……)

まつ毛は長いし、鼻は高い。きっとパーツの配置も完璧なのだろう。
引き結ばれた唇を見て、千花はふと修矢にされたキスを思い出した。その瞬間、胸は高鳴り耳が熱くなる。

(やだな、私ってば。こんなときにそんなことを思い出さなくてもいいのに)

その残像を無理やり追い払ったところで、千花の口からふわあと欠伸が出た。

そろそろ自分の部屋に戻ろうと頭では考えるのに、なぜか身体を動かせない。きっと月の優しい光が睡魔を誘うのだろう。

別に修矢の顔を眺めていたいというわけじゃない。そう否定しながら、重くなっていく瞼。
ベッドに肘を突いてぼんやりしているうちに、急速に眠りの波がやってくる。

そして千花は生理現象に抗うことなく、その場で重い瞼を閉じた。

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