お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
その様子がなんだかおかしくて、修矢は思わず笑みを漏らす。
「ほんと調子狂う」
ひとり言をこぼし、修矢もその隣に横になった。
修矢が千花を初めて弁当屋で見かけたのは三ヶ月ほど前のこと。病院の職員専用の食堂に飽き、たまには外食でもと思ってひとりで外へ出たときだ。風にひらりとはためくのぼりを見て、院内の連中がおいしい弁当屋だと言っていたことを思い出した。
たまには弁当でもいいかもしれない。そう考え、迷いもせずにその店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ」
耳に心地のいい軽やかな声と眩しいほどの笑顔に出迎えられ、修矢は目眩に近い感覚に襲われた。
大規模なオペを終えたばかりで疲労していたせいだったのかもしれない。なにしろ手術中は滅菌ガウンを着込んで無影灯の強烈な明かりに照らされ続け、脱水症状に近い状態だったから。
レジの前で修矢がメニュー表を眺めていると、「顔色が少し悪いように見えますが大丈夫ですか?」と千花に声を掛けられた。そんな心配を見ず知らずの人にされるとは思いもせず、ぶっきらぼうに「ああ」と返しただけの修矢。